これからのアートスタイルは・・・
インターネットの浸透で変わった社会
アカデミック領域を中心として始まったインターネット環境も、普及しはじめて30年の年月が過ぎました。当初は日本ではコミュニケーションのツールとして、インターネット以前より大手の事業者が運営していたパソコン通信(電話回線を使用する)が主に利用されていました。その後1990年頃に(大学研究者の努力により、)パソコン通信とインターネット間のメール交換が可能になり、日本でのインターネット環境がより浸透するきっかけになりました。折しも1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災時のパソコン通信とインターネットの相互乗り入れは、国内組織の連携や海外からの支援に大いに役立ちました。ネットワークがコミュニケーションやコミュニティーづくりに重要な役割を果たすと認識されるようになりました。
インターネット上で人と人の繋がりを促進するWebサイトサービスは、新たなコミュニケーションのツールとして活用されるようになりました。
日本のアート事情
通常アーティストは「作品制作だけに集中」し、ギャラリー経由でしかファンやコレクタ―と接することができません。残念ながら強力な販売網や多くのプロモーションチャネルを持たないギャラリーは、単なる「貸しスペース」としての存在でしかありません。
欧米では、アーティストマネジメントを行うマネージャーが代理人として、アート活動を行うケースが多く見受けられます。
セルフプロデュースのすすめ
アーティスト自身だけでなく、ギャラリーや美術館の運営手法も、インターネットの浸透により、大きく変わってきました。
アートファンを増やそう!
「ギャラリーで作品を発表するだけではなく、自身の制作コンセプトや作品の解説、作品の制作動画などをインターネットサービスを活用して、より多くの人にアピールしたい。」自らの付加価値を高めるため、特にネット世代の若いアーティスト達には多いのではないでしょうか。ではセルフプロデュースとして一体何ができるのか考えてみましょう。
具体的にできること
- 制作コンセプトや作品の解説などを掲載したアーティスト情報サイトを作成
(online Portfolio) - 日頃からSNSを活用し、作品や制作風景を画像や動画で配信する
(online Catalog、Blog、Vlog) - 作品販売サイト(アマナイメージズなど)に登録するか、アーティスト自身が作品やオリジナルグッズを販売するサイトを制作・運営する
(オンラインショップ) - アートイベントの開催案内や終了後のお礼コメント、開催中のイベント風景を拡散するためにSNSを活用する
(イベント時に利用。日頃からSNS友達を増やしましょう。) - 展覧会時に独自の工夫をしましょう。誰をターゲットにしているのかをよく考え、インスタレーション(現場でのライブペインティングなど)を実施し、同時に記録・拡散を行う
(Vlog) - ネット上で”仮想展覧会”を定期的に実施する
(新作をアートファンに事前に配信) - オンタイム配信を利用した遠隔講義や教室と教室を繋いだイベントを開催する
(ネット教育にも発展) - アーティスト情報をグローバルに配信し、より海外との交流を高める
(例えば英語表記のサイトを公開)
インターネットの活用にはプラス面だけではなく、マイナス面も考慮する必要があります。その中でも特に、情報の漏洩や悪用をなくすことは今後も難しいでしょう。このようなツールと私たちはどのように付き合っていくかが重要な課題となります。ファンの個人情報収集は極力避け、フォームでのやり取りに制限します。またアーティスト自身の個人情報、住所や電話番号なども公開しない方が良いでしょう。